りゃまがたのウイスキーノート

りゃまがたのウイスキーノート

テイスティングとウイスキーにまつわる雑談

新旧タリスカー10年飲み比べ【いまさら】

ハイボールを飲まなくなった話

身体が冷えるからという理由で、最近ハイボールを飲まなくなりました。「冷えは万病のもと」と言います。ただ、これまで出会った年配の方々を思い返すと、考え方や振る舞い方が若いひとほど見た目も若いというケースが多くありました。

「身体がどうなろうが飲みたいものを飲むぜ!」という健康への無頓着こそが若さの秘訣なのか。老け込んだ考え方をしていたら、かえって見た目も老け込んでしまうんじゃないか。

こんなとりとめのないことに頭を悩ませるのが一番不健康な気がします。

 

タリスカー10年新旧の比較

近所のやまやで旧ラベルのタリスカー10年のミニボトルを購入しました。フルボトルはすっかり見かけなくなりましたが、ミニボトルはいつも売っています。

新ラベルの販売開始からすでに1年以上経っているため、YouTubeやブログなどで新旧を比較したコメントが多数投稿されています。おおむね旧ラベルのほうが評価が高いようですね。

ではどういった違いがあるのか、どちらのほうが好みかを自分の舌で確かめてみます。

 

基本情報

タリスカー10年はスコットランドで生産されているシングルモルトウイスキーです。

2、3年ほど前は3000円台で買える超お手頃なシングルモルトだったはずが高騰し、新ラベルは5000円くらいが相場でしょうか。旧ラベルはネットでなら見つけることができ、武川蒸留酒販売だと並行品が5080円、正規品が6980円です(2023年4月22日時点)。

mukawa-spirit.com

 

アルコール度数は新旧ともに45.8%。この度数の高さが人気の一因で、当然40%のウイスキーをより濃い味わいが期待できます。

 

色を比べてみましょう。左が旧ボトルで、右が新ボトルで、色合いや色の濃さに違いはないようです。写真ではわかりづらいですが、新ボトルのほうが輝きがあります。


まずは旧ラベルをストレートで

香り:

軽やかで柑橘を思わせる上品な甘い香り。強い潮っぽさ。かすかにソーセージのような肉っぽさ。

 

味わい:

香り以上に強い甘味。ドライフルーツや果物の蜜のようなフルーティな甘さ。

中間に麦っぽさがあり、はじめの甘さとフィニッシュのスモーキーさを橋渡ししている印象。バランスが良い。鼻に抜ける余韻は弱く短い。

 

つづいて新ラベルをストレートで

香り:

バニラっぽい甘い香り。潮っぽさをともなうスモーキーさ。旧ラベルと比べて甘さが強く、スモーキーさが弱い。また、複雑さに欠ける。

 

味わい:

はちみつのような温かみのある甘味。旧ラベルより甘さが強く、スモーキーさが弱い。10~12年熟成のシングルモルトの中でかなり甘い部類。

麦っぽさが弱く、中間は単に甘さが薄らいでいく印象。そのためか旧ラベルよりライトに感じる。フィニッシュにスモーキーさが残る。余韻はこちらも弱く短い。

 

新旧に共通しているのは、アルコール度数が高い分、味が濃く満足感が高いこと。そしてそのわりにアルコール感が少ないことです。

ただ、そのほかについては別物と言っていいほど異なり、比較すると新ラベルは単調で個性に乏しい印象を受けます。

個人的には旧ラベルのほうが複雑な味わいを楽しめるので好きです。この複雑さやスモーキーさこそ旧ラベルらしさなんじゃないかと思います。

 

タリスカーといえばハイボール

冒頭で話した通り、最近はめっきりハイボールを飲まなくなりました。ただ、タリスカーハイボールが美味しいとされているウイスキーなので、試さないわけにはいきません。

 

まずは旧ラベルを使ってウイスキー:炭酸水=1:3の割合で作ったハイボールを飲んでみます。

甘さより磯っぽいスモーキーさが際立ちます。かすかに塩気を感じます。おいしくてすぐに飲み干してしまいました。

2杯目はスモーキーさに慣れたせいか、より甘さを感じるようになりました。果物の蜜のような甘さで、爽やかさがあり絶妙なバランスです。

 

新ラベルも1:3で作ってみます。

ほんのりバニラのような甘さがあり、後からスモーキーさを感じます。ぐびぐび飲める爽やかさなハイボールになりました。

ただ、言い方を変えると印象が薄いです。ティーチャーズと似ているような気がします。

割合を1:2.5に調整すると甘味が強まり、ぐびぐび飲むというよりじっくり味わうハイボールになりました。新ラベルはこのくらいの濃さにした方が好きです。

 

旧ラベルのハイボールのほうがスモーキーさが目立つ分より個性的で、ストレートにつづき、ハイボールも旧ラベルのほうが好みでした。

 

まとめ

旧ラベルのほうが評価が高いのがうなずける結果でした。個性的かつ複雑で、質のいいウイスキーであること感じさせます。数年前までこれが3000円台で買えたと思うと驚きです。

新ラベルは旧ラベルと比べると単調に感じてしまいます。ただ、甘味が強くスモーキーなウイスキーが好みの方にはおすすめで、5000円台でこの味わい、アルコール度数であれば決して高くないと思います。

余市 開栓直後と開栓半年後を飲み比べ

ストック消費

開栓済みのものを含め30本以上のウイスキーを所持していますが、飲酒量が少ないのでなかなか減りません。しかもこのほかにジンもある・・・。

そこで今年は買うのを控えて、ストック消費に専念します。その分、来年はシングルカスクや長熟ものなど値が張るものに手を出したいですね。

(とかいってPayPayの25%ポイントバックキャンペーンを言い訳にシーバスリーガルミズナラ12年とローヤルを買ってしまいました。さらにメルカリでボウモア15年を購入。意志が弱い!)


ウイスキーの開き具合

さて、今回は余市の開栓直後のボトルと開栓してから半年経っているボトルの飲み比べです。余市は個人的にお気に入りのウイスキーで、ストレートとハイボールでよく飲みます。

ふと気になってネット上のテイスティングコメントを見ると、いくつかは「甘味が少なくドライなウイスキー」と評していました。しかし、手元にあるボトルを飲むとむしろ甘味を強く感じ、違和感を覚えました。もしかしたらウイスキーの開き具合が影響しているのかもしれません。

開栓直後のボトルはアルコール感が強い一方でウイスキー本来の風味が弱く、この状態を「閉じている」や「硬い」と言います。

反対に開栓から時間が経つとアルコール感がマイルドになるとともに、ウイスキーの個性が引き出され、この状態を「開いている」と言います。

 

もしかしたら私が見たテイスティングコメントの余市は開栓直後だったのかもしれません。開栓して半年が経った残量わずかなボトルがあるので、これから開栓するボトルと飲み比べて風味の違いを検証したいと思います。


基本情報

と、その前に余市の基本的な情報を抑えておきます。

ニッカウヰスキーシングルモルトで、アルコール度数45度。

価格は税込で4950円です。ボトルの裏面の説明によると、「やわらかな樽熟成香と麦芽の甘さ、豊かな果実香の調和。力強いピートの味わいと香ばしさ。穏やかに持続するオークの甘さとスモーキーな余韻が特徴」とのことです。

 

まずは開栓直後のボトル

香り:

注いですぐはアルコール感が強く、ほとんど香りを感じられません。

グラスを回して数分待ってみると麦っぽいような柑橘っぽいような甘い香りに加え、ほのかにスモーキーさを感じました。

 

味わい:

甘味は砂糖やはちみつのような強いものではなく、コクやうまみを感じる甘味です。蒸溜方式が石炭直火蒸溜だったり、新樽を使っていたり、珍しい製法に由来しているのかもしれません。

この甘味の強さだと「ドライなウイスキー」というコメントも決して的外れとは言えないです。

多少アルコール感がありますが、アルコール度数45%のノンエイジであることを踏まえると極端に強いわけではありません。

また、香りで感じたよりもよりスモーキーさが強く、かすかに潮っぽさも感じます。


つづいて開栓半年後のボトル

香り:

アルコール感がやわらいでいて、甘い香りが鼻腔にふわっと広がります。少しの酸味も感じられ、桃の缶詰や金柑の甘露煮のようです。

甘さの奥にスモーキーさと潮気があり、思わず笑顔になってしまうような良い香りです。
嗅ぎ比べてみると、開栓直後のほうは香りが弱く、線が細いですね。

 

味わい:

明らかに甘味が強まっているのがわかります。爽やかというより温かみがある甘味で、少しの酸味を伴っています。

また、アルコール感が弱まり、スムーズな飲み口になりました。

こちらも香りで感じた以上のスモーキーさがあり、余韻に残ります。開栓直後のボトルと比較すると、より強く長い余韻です。

強い甘味に酸味とスモーキーさが加わっており、バランスが良いです。


検証結果

こんなに違うのかと驚きました。断然、開栓半年後のボトルのほうが好みです。開栓直後のボトルと比べて、開栓半年後のボトルは以下の特長がありました。

・甘味が強い

・アルコール感が弱い

・余韻が強く、長い

・甘味、酸味、スモーキーさのバランスが良い

 

やっぱり私が見たテイスティングコメントは開栓直後のボトルでテイスティングしたのかもしれません。

余市を飲んでしっくりこないと感じた方は数か月寝かせてみることをおすすめします。

カリラとフィンラガン

フィンラガン=カリラ(仮)

フィンラガンというボトラーウイスキーがあります。蒸留所不明のアイラモルトですが、正体はカリラだという話をよく耳にします。

現在、カリラ12年が5500円前後、フィンラガンが3000円以下で販売されています。味が似てるなら、もうフィンラガン一択で良いのではないでしょうか。飲み比べをして今後どちらを買うか決めたいと思います。

 

カリラ12年

カリラ12年はアルコール度数43度、アイラモルトの中では中程度のスモーキーさです。以前、ラガヴーリン16年とともにテイスティングしていますが、改めて香り、味わいを確認します。

ryamagata.hatenablog.com

香り:麦っぽさとオレンジ、磯っぽいスモーキーさ、爽やかな印象。

味わい:スモーキー、麦っぽい甘さ、ライトな酒質、香りよりドライな印象。短い余韻。

以前飲んだときよりドライに感じました。爽やかさ、華やかさがあり、飲み口が上品なのがカリラ12年の特徴だと思います。

 

フィンラガン オリジナルピーティー

フィンラガンにはいくつか種類があり、今回飲むのはアルコール度数40%の定番品「オリジナルピーティー」です。同じ度数の「オールドリザーブ」という商品もありますが、そちらはオリジナルピーティーの後継品のようで、どちらもネット上で購入できます。(2022年12月現在)

他に46度のものやカスクストレングスがありますね。

mukawa-spirit.com

カリラが黄金色なのに対し、フィンラガンの色は濃くて少し茶色いです。では実際に飲んでみます。

香り:スモーキーさと潮っぽさが目立つものの、カリラ12年のような柑橘感は感じらません。香りの感じ方はフィンラガンのほうが強いです。

味わい:スモーキー、ドライな麦の風味、若干の渋み。カリラよりさらに短い余韻。

強いスモーキーさがあるものの、カリラにあった爽やかさがありません。スモーキー以外の要素が拾いにくく、単調で野暮ったい印象です。

 

結論

飲み比べるとさすがに差を感じました。カリラ12年はスモーキーさと爽やかさのバランスが良く、おいしさを再認識しました。

フィンラガンは奥行きに欠けていて物足りず、結論としては値段相応の味ですね。残念ながらカリラとは別物です。

カリラ12年はストレートでもロックでもお好みの飲み方で。フィンラガンはハイボールにするか、他のウイスキーでつくったハイボールにフロートしてスモーキーさを足す使い方がおすすめです。

ラガヴーリン16年 カリラ12年 飲み比べ

坂本慎太郎のライブ

先日、坂本慎太郎のライブを観に熊本県八代市に訪れました。福岡や熊本など九州の主要な都市で開催せずなぜ八代なんだろう、と思っていましたが、会場の「キャバレーニュー白馬」を見て納得。天井にシャンデリアとミラーボールが下がっていて、レトロでノスタルジックな雰囲気を醸しています。陽気ででも退廃的な感じのする坂本慎太郎の音楽にぴったりでした。

 

量り売りウイスキー

さて、ライブ前に寄った酒屋で量り売りのウイスキーをいくつか買いました。店主曰く熊本県内で量り売りをしているのはここだけとのこと。酒販免許とは別に届出が必要で面倒らしいです。

8246.anshinnamachi.com

購入したのはラガヴーリン16年、ベンロマック10年、グレンファークラス105を60mlずつ。確かラガヴーリンは1200円ほどで、ほかは2つは600円ほどだったと思います。(容器を返却すると50円戻ってくるそうです。)

いまや店頭に並ぶことがほとんどないラガヴーリン16年を試せるのはうれしいですね。早速、飲んでみると同じくアイラモルトのカリラ12年と似ているように思いました。そこで今回はラガヴーリン16年とカリラ12年をじっくり飲み比べてみたいと思います。両方ともアルコール度数43度で、その点でも飲み比べにうってつけです。

 

カリラ12年

まずはカリラ12年から。色は薄い黄金色です。

香りは磯っぽいスモーキーさに加えて、モルティさ、オレンジピールのような爽やかさがあります。
ずっと嗅いでいると鼻がスモーキーさに慣れ、爽やかで甘い香りが目立つようになります。

では実際に飲んでみます。口に含むとひんやりとした冷たさがあります。

まず磯っぽいスモーキーさがあり、つづく甘さは柑橘系というより麦っぽい感じです。香りの印象よりは甘さが控えめでドライですね。ライトな酒質ですが、麦っぽさが爽やかすぎず、味に深みを与えています。

飲み込んだ後にアルコールの辛さが残りますが、何口か飲んでいると慣れて感じなくなりました。

鼻から抜ける余韻はスモーキーで短く、終始ライトな印象です。香りも含め、荒々しいというより綺麗で華やかなウイスキーですね。


ラガヴーリン16年

つづいてはラガヴーリン16年です。色はカリラより濃く、より茶色いニュアンスです。

香りから感じるスモーキーさは磯っぽいというより野焼きで草を焼いた煙の感じです。
麦と熟したフルーツっぽい香りなかに甘酸っぱさがあり、重厚感があるものの重すぎず、ずっと嗅いでいたくなる良い香りです。スモーキーさはカリラより弱く、そのほかの要素をより多く感じます。

飲んでみると、やはりカリラよりスモーキーさが控えめで、甘みや酸味、鰹節のようなコクを感じます。

16年熟成ということで丸みがあり、カリラよりスモーキーさやパンチが弱い一方、風味が豊かで穏やかです。アルコール感もありません。飲み込んだ後は緩やかな余韻が長く続き、しっぽり飲むのに向いたミディアムボディのウイスキーです。

 

結論

飲み比べてみると結構異なっていました。スモーキーさの種類もカリラが磯っぽいならラガヴーリンは野焼きっぽい、酒質もライトとミディアムで差がありました。しいて言うなら、麦っぽい味わいが似ているかもしれません。これはアードベッグTENやラフロイグ10年にはあまり感じません。

ラガヴーリン16年は非の打ちどころのないおいしさでした。ただ、店頭で見ることはなく、メルカリでは13000円ほどのプレ値で取引されています。最近はアードベッグTEN、ラフロイグ10年も高騰して7000~8000円ほどになり、手を出しにくくなりました。5500円前後のカリラ12年や、4000円前後のボウモア12年など、安定供給品の中でお気に入りを見つけるのが現実的かもしれません。

爽やかすぎるジン「ザ・ボタニスト」

酒屋あるある

先日酒屋に行くと、なかなかお目にかかれない桜尾のシェリカスクが置いてありました。店員さんに「これって売っていますか?」と尋ねると「すみません、飲食店向けでして・・・」とのことでした。何本かのボトルとまとめて置かれていて、仕分け作業中だったようです。

別の日、別の酒屋にてレジの上に余市10年を発見。こちらも売ってくれるか尋ねたところ、店員さんが手でさっと隠すような動作をして「これはお売りしていないので・・・」と答えました。動作が大げさになりすぎたのを自覚してか、なんだか申し訳なさそうでした。

実はこういうことがほかにもあって、酒屋あるあるなんじゃないかと思います。どうせ売れないなら目につかないところに置いてほしい・・・。見つけたときに上がったテンションを抑えきれず、ついつい他のボトルを衝動買いしてしまいます。

 

ウイスキーの蒸留所でつくるジン

そんな話はさておき、今回は「ザ・ボタニスト(The Botanist)」というジンを紹介します。ウイスキーを常飲するようになってからジンに興味を持つようになり、ビーフィーターなどの定番品から飲み始めました。その後、少し上の価格帯のものを飲んでみたくなり、手に取ったのがこのジンです。

 

ボタニストはウイスキーで有名なアイラ島でつくられる唯一のジンで、「ザ・クラシック・ラディ」や「ポートシャーロット」などのウイスキーを生産するブルックラディ蒸留所でつくられています。使われているボタニカルは31種類あり、ジンの中ではかなり多いほう。アルコール度数は46度です。

今回は200mlのミニボトルを購入しました。700mlのフルボトルは概ね4000円弱で販売しています。

 

まずはストレートで

香りは甘酸っぱく爽やかな印象です。アルコール度数46度ですが、想像していたほどアルコールの刺激はありません。

口に入れるとボタニカル由来の風味が広がり、苦みにつづいて甘さを感じます。控えめな甘さで柑橘系っぽいですね。苦みがネガティブにならず、爽やかさに一役買っています。口当たりは結構粘性があります。

飲み込んだ後はほんの少しアルコールのピリッとした刺激が舌の上に残ります。鼻から抜ける香りが爽やかです。

 

ドライなジンソーダ

つづいてソーダ割りで飲んでみます。ストレートを飲んだ時の印象通り、口当たりが軽くて爽やかな味わい。甘さはほとんど感じず、使われているボタニカルの多さからか複雑な風味で、後味に苦みが残ります。結構ドライですね。おつまみはナッツよりドライフルーツなど甘味のあるものが合いそうだと思いました。

ボタニスト:炭酸水=1:3だと線が細く水っぽく感じます。少し濃い目に作るのがおすすめです。

 

ジンといえばジントニック

今回は大好きなトニックウォーター、フィーバーツリーを使います。

ボタニストとフィーバーツリーの苦みが合わさり、味わいがにぐんと深みが出ました。

フィーバーツリーが人口添加物を使用していないせいか甘さがわざとらしくなく、品のある大人な味わい。主張が強すぎない分、続けて飲んでも嫌になりません。

試しにウィルキンソントニックウォーターでつくってみましたが甘さが強すぎて、ジンの風味が後退してしまいます。

ボタニストは爽やかで繊細なジンなので、フィーバーツリーとのほうが相性が良いようです。

 

ジンソーダと向き合おう

ここまできて言うことではないのですが、ボタニストのジンソーダ、好みではありません。爽やかすぎて、物足りなく感じてしまいます。

そこで手元にあった同じブルックラディ蒸留所のウイスキー「ザ・クラシック・ラディ」をジンソーダにちょい足しして、味に変化を加えてみます。クラシック・ラディはノンピーテッド麦芽を使ったスモーキーさのないウイスキー。同じ蒸留所ということでうまく馴染むのではないかと期待しつつ、5mlほど加えて飲んでみます。

慎重派(臆病者)ゆえ、クラシックラディも200mlのミニボトルです。

するとソーダ割りのときにあった苦みがすっと消え、クラシックラディの麦っぽい甘さとボタニストの爽やかさが共存した味わいになりました。通常のジンソーダよりこちらの方が飲みやすくて好きです。ただ、濃い目につくったのですが、それでも印象の薄さは否めない・・・。

ちなみにクラシックラディは単体で飲むと、青リンゴや白ワインのような香りなのに味わいは麦っぽく、意表をつかれます。

個人的にボタニストはジントニックがピカイチという結果でした。(ただし、フィーバーツリー使用時に限る。)

90年代ジョニ黒 飲み比べ

 松坂慶子吉永小百合

相変わらず暇を見つけては酒屋を巡っています。先日行った酒屋はずいぶん偏っていて、バランタイン17年とグレンフィディック18年、グレンフィディックの21年の3本だけウイスキーを置いていました。

70代後半とおぼしき店主によると、例えるならばグレンフィディック18年は松坂慶子で、21年は吉永小百合だそうです。「18年はまだ艶っぽさある。21年は枯れているけど、口当たりが良いからすいすい飲めちゃう」とのことでした。どちらも飲んだことがありませんが、それを聞いてもあまり飲みたいとは思いませんでした。

そんな話はさておき、前回のブログで触れましたが、ついに念願だったオールドボトルを買うことができました。90年代後半のジョニーウォーカーブラックラベルで、価格は3000円。ネットオークションやフリマアプリの相場はもっと安いようです。ただ、酒屋を20店舗近く回った末にようやく見つけたオールドボトルだったので、迷わず購入しました。

その後、ヤフオクで90年代前半のジョニ黒も入手しました。80年代のジョニ黒2本と3本セットで送料込み6500円。ネットだと80、90年代はまだまだ安く買えますね。これを機にフリマアプリでもウイスキーを買うようになり、酒屋巡り至上主義者がすっかり骨無しです。

 

3本飲み比べ

さて、せっかくラベル違いのジョニ黒がいくつかあるので飲み比べたいと思います。今回飲み比べるのは現行品・90年代後半・90年代前半の3本。人気がある70、80年代に比べて、90年代の情報はあまり出回っていないようなので、この年代に焦点を当てたいと思います。(私の飲酒量が少なく、同時に80年代も開けると飲み切るのにとほうもない時間がかかってしまう、という裏の事情があります。)

 

飲み比べの前にひとまずボトルの違いから見ていきます。現行品はすっと細長く角ばっているのですが、90年代後半、前半と古くなるにつれて背が低くなり丸みを帯びています。

また、現行品は表面に、90年代後半は裏面にストライディングマンのレリーフがあるのに対し、90年代前半のボトルにはありません。現行品と90年代後半のストライディングマンがそれぞれ右と左、反対の方を向いているのも興味深いですね。

他に目を引く違いはアルコール度数(ABV)と容量です。現行品と90年代後半はABV40%で容量は700ml、90年代前半はABV43%で容量750mlです。グラスに注いで色を確認しみましたが、3本とも同じように見えます。

結論から言うと、飲み比べてみてもっとも好みだったのは90年代後半のジョニ黒でした。古いボトルほど旨いと思っていたので自分でも意外です。

では、以下にそれぞれの感想です。

 

現行品

まずベンチマークとなる現行品ですが、ドライレーズンのような香りがします。(大雑把ですみません。)スモーキーさはあまり感じられません。

口に含むとさわやかな甘さがあり、飲み込むとスモーキーさを感じられます。香りにあったドライレーズンっぽさは見当たらず、どちらかというとはちみつを薄めたような甘さです。余韻は短いですが、鼻に抜けるスモーキーさが心地よいです。

甘さとスモーキーさのバランスが素晴らしいです。2000円ほどのウイスキーながらアルコール感がほとんどなく、ストレートでおいしく飲めます。これがどこでも売っていて簡単に手に入るというのには驚かされます。

 

90年代後半

こちらもドライレーズンのような香りですが、現行品よりまろやかで優しい印象です。若干ですがスモーキーな香りが強まったように感じます。

味わいは現行品と比べて甘さが際立っていて、終盤に黒糖のような甘さがあります。また、現行品と同じアルコール度数40%なのに味が濃く、余韻が長いです。90年代後半を飲んだ後に現行品を飲むと結構ライトに感じますね。

 

90年代前半

香りはスモーキーさが前面にあり、甘さが後退しているように感じます。

味わいは3本の中でもっともスモーキーです。甘さは90年代後半のほうが強く感じます。

他2本がアルコール度数40%なのに対し、90年代前半だけが43%と高いです。ただ、90年代後半と比べても特別、味の濃さや余韻の長さ、アルコール感を感じませんでした。

 

まとめ

3つとも香りと味の方向性は同じで、甘さやスモーキーさの強さ、ボディの重さが違うといった感じです。そのため、私は90年代後半が好みでしたが、ドライでスモーキーなウイスキーが好きな方は90年代前半のほうが口に合うかもしれません。

また、今回飲んだボトルがオールドボトルながらヒネてなかったのはラッキーでした。そのうち70年代、80年代ボトルも飲み比べたいです。

オールドボトルを求めて、酒屋を巡る ②

前回のつづきです。

ryamagata.hatenablog.com

 

クチコミを頼りに

2店舗目にはオールドボトルがあると予想していました。

なぜなら、「オールドボトルのローヤル、ローヤル12年があります」というクチコミがグーグルマップに掲載されていたからです。クチコミが投稿されたのは7ヶ月前で、あまり期間が空いていません。期待しつつ、売り切れていないことを願いながら店へと向かいます。

目的の酒屋は自宅から車で10分ほどの場所にありました。

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ガラス戸に手をかけて店に入ると、まず駄菓子が目に入りました。ほかには調味料やタバコ、ごみ袋などを売っています。店員の姿は見当たりませんでしたが、奥に暖簾がかけてあってその先にいるようです。

店内を見渡すと背の高い棚にボトルが置かれているのに気づき、近づいて見るとローヤルとローヤル12年でした。ローヤル12年は2008年に終売しています。ローヤルは現在も販売していますが、店にあったのは現行品より前のボトルでした。それぞれ1990年代~2000年代のもののようです。

それらのボトルを見ていると、暖簾をくぐって(これまた)60代くらいの店主と思われる女性が出てきました。「これはいくらで売っていますか?」と尋ねると、その店員は申し訳なさそうに「ごめんね。これは売ってないの」と答えました。

話を聞くと、10年ほど前から古いウイスキーを買い求める客が来るようになったそうです。かつては在庫がたくさんあったけれど、ローヤルとローヤル12年がそれぞれ最後の1本となってからは売らずに飾っているとのことでした。何とか売ってもらうことはできないかと粘りましたが、「あまりに古いので品質に自信がないから売れない」と言われました。

求めていたものが目の前にあるのに買えず、さすがに落胆しました。実のところ、ローヤルとローヤル12年はオークションサイトやフリマアプリに多数出品されていて、入手の難易度は高くありません。

酒屋でオールドボトルを探すのは労力に見合ってないのではないか・・・、とネガティブな気持ちになりましたが、まだたった2店舗回っただけ。数打ちゃ当たると自らに言い聞かせ、3店舗目に向かいます。

 

ヤマザキショップでついに・・・?

次の店はヤマザキショップですが、グーグルマップのクチコミによると、珍しいウイスキーやジンなどを取り扱っているそうです。

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店に入り、レジに立っていた60代の男性の店員と挨拶しました。商品棚にはラフロイグやアマハガン、ジンのタンカレーNo.10やモンキー47が置いてありました。どこにでもあるようなブレンデッドウイスキーはなく、品数は少ないながらこだわった品揃えです。

ヤマザキショップの看板を掲げていますが、パンはひとつもありません。オーナー次第でそんなに自由に売るもの変えられるのでしょうか。

オールドボトルが見当たらず、店主と思われるレジの男性に尋ねると、やはり置いてないとのことでした。ただ、「少し離れたスーパーに古いウイスキーがあるかもしれない」という耳寄りな情報を得ることができました。生の情報ほど頼りになるものはありません。立地を詳しくを教えてもらって行くことにしました。

 

ロマンと余談

スーパーは県道から一本奥まったところにありました。足早に酒コーナーに向かい、棚を眺めましたがオールドボトルは見つからず。結局その日は4店舗回ってひとつも手に入れることはできませんでした

後日談として、さらに10数店舗を巡ったのち、ついに90年代後半のジョニーウォーカーブラックラベルを購入できました。率直なところ、それほど苦労してまで探し回るべきだったかは疑問です。

ただ間違いなく、酒屋巡りには宝探しのようなロマンがありました。オールドボトルが買い尽くされた今だからこそ、見つけたときの感慨もひとしおです。

グーグルマップで調べると思いのほか、近所にたくさんの酒屋があると思います。あまり期待せず、なにかのついでにふらっと寄るくらいがちょうど良いのかもしれません。気軽にロマンを味わえるはずです。

余談ですが、3軒目の酒屋でコルクが不良のブレットバーボンを1000円で譲ってもらいました。ちょうど自宅のバーボンウイスキーが切れそうだったのでラッキー。これだけでも収穫があったと言えるかもしれません。

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ちなみに、グレンモーレンジィのコルク栓がピッタリはまったので流用しています。