りゃまがたのウイスキーノート

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テイスティングとウイスキーにまつわる雑談

90年代ジョニ黒 飲み比べ

 松坂慶子吉永小百合

相変わらず暇を見つけては酒屋を巡っています。先日行った酒屋はずいぶん偏っていて、バランタイン17年とグレンフィディック18年、グレンフィディックの21年の3本だけウイスキーを置いていました。

70代後半とおぼしき店主によると、例えるならばグレンフィディック18年は松坂慶子で、21年は吉永小百合だそうです。「18年はまだ艶っぽさある。21年は枯れているけど、口当たりが良いからすいすい飲めちゃう」とのことでした。どちらも飲んだことがありませんが、それを聞いてもあまり飲みたいとは思いませんでした。

そんな話はさておき、前回のブログで触れましたが、ついに念願だったオールドボトルを買うことができました。90年代後半のジョニーウォーカーブラックラベルで、価格は3000円。ネットオークションやフリマアプリの相場はもっと安いようです。ただ、酒屋を20店舗近く回った末にようやく見つけたオールドボトルだったので、迷わず購入しました。

その後、ヤフオクで90年代前半のジョニ黒も入手しました。80年代のジョニ黒2本と3本セットで送料込み6500円。ネットだと80、90年代はまだまだ安く買えますね。これを機にフリマアプリでもウイスキーを買うようになり、酒屋巡り至上主義者がすっかり骨無しです。

 

3本飲み比べ

さて、せっかくラベル違いのジョニ黒がいくつかあるので飲み比べたいと思います。今回飲み比べるのは現行品・90年代後半・90年代前半の3本。人気がある70、80年代に比べて、90年代の情報はあまり出回っていないようなので、この年代に焦点を当てたいと思います。(私の飲酒量が少なく、同時に80年代も開けると飲み切るのにとほうもない時間がかかってしまう、という裏の事情があります。)

 

飲み比べの前にひとまずボトルの違いから見ていきます。現行品はすっと細長く角ばっているのですが、90年代後半、前半と古くなるにつれて背が低くなり丸みを帯びています。

また、現行品は表面に、90年代後半は裏面にストライディングマンのレリーフがあるのに対し、90年代前半のボトルにはありません。現行品と90年代後半のストライディングマンがそれぞれ右と左、反対の方を向いているのも興味深いですね。

他に目を引く違いはアルコール度数(ABV)と容量です。現行品と90年代後半はABV40%で容量は700ml、90年代前半はABV43%で容量750mlです。グラスに注いで色を確認しみましたが、3本とも同じように見えます。

結論から言うと、飲み比べてみてもっとも好みだったのは90年代後半のジョニ黒でした。古いボトルほど旨いと思っていたので自分でも意外です。

では、以下にそれぞれの感想です。

 

現行品

まずベンチマークとなる現行品ですが、ドライレーズンのような香りがします。(大雑把ですみません。)スモーキーさはあまり感じられません。

口に含むとさわやかな甘さがあり、飲み込むとスモーキーさを感じられます。香りにあったドライレーズンっぽさは見当たらず、どちらかというとはちみつを薄めたような甘さです。余韻は短いですが、鼻に抜けるスモーキーさが心地よいです。

甘さとスモーキーさのバランスが素晴らしいです。2000円ほどのウイスキーながらアルコール感がほとんどなく、ストレートでおいしく飲めます。これがどこでも売っていて簡単に手に入るというのには驚かされます。

 

90年代後半

こちらもドライレーズンのような香りですが、現行品よりまろやかで優しい印象です。若干ですがスモーキーな香りが強まったように感じます。

味わいは現行品と比べて甘さが際立っていて、終盤に黒糖のような甘さがあります。また、現行品と同じアルコール度数40%なのに味が濃く、余韻が長いです。90年代後半を飲んだ後に現行品を飲むと結構ライトに感じますね。

 

90年代前半

香りはスモーキーさが前面にあり、甘さが後退しているように感じます。

味わいは3本の中でもっともスモーキーです。甘さは90年代後半のほうが強く感じます。

他2本がアルコール度数40%なのに対し、90年代前半だけが43%と高いです。ただ、90年代後半と比べても特別、味の濃さや余韻の長さ、アルコール感を感じませんでした。

 

まとめ

3つとも香りと味の方向性は同じで、甘さやスモーキーさの強さ、ボディの重さが違うといった感じです。そのため、私は90年代後半が好みでしたが、ドライでスモーキーなウイスキーが好きな方は90年代前半のほうが口に合うかもしれません。

また、今回飲んだボトルがオールドボトルながらヒネてなかったのはラッキーでした。そのうち70年代、80年代ボトルも飲み比べたいです。