ウイスキーがもし人間だったら
以前どこかで聞いた話で、ウイスキーを人間に当てはめたとき、熟成年数を2倍にした数字を年齢とするとしっくりくるそうです。
例えばボウモア12年の場合、まだ若いけれどしっかりとした個性を持っていて、言われてみれば24歳の青年のようです。ボウモア15年はシェリー樽による追熟で深みが増した一方、まだ伸びしろがあるような感じで、人間にして30歳と思うとこれもそこまで違和感はありません。
他にもいろんなウイスキーに当てはめて考えてみましたが、意外とどれもしっくりきます。ただ、余市はノンエイジなのでまだ未成年ということになりますが、だとしたらそうとう大人びた子供に感じてしまいます。
冬に飲みたい2本
さて今回は、今が12月の末ということで、冬にぴったりなウイスキーを2本紹介します。ひとつはエドラダワー10年、もうひとつはラガヴーリン16年です。それぞれキャラクターが全く異なりますが、2本に共通しているのはミディアム~フルボディであること。寒い季節にそういうウイスキーをゆったり飲む時間は至福です。今回もテイスティングした際の香り・味わいとともに紹介します。
エドラダワー10年
シェリー樽で10年間以上熟成したシングルモルトウイスキーです。市場価格は6500円ほど。熟成年数が若いわりに濃い赤茶色をしていますが、カートンに"NATURAL COLOUR"との記載があり、無着色のようです。
これまで飲んだシェリー樽熟成のウイスキー(グレンファークラス12年、グレンファークラス105、マッカラン12年シェリーカスク、アランシェリーカスク)は、正直どれも好みではありませんでした。そのため自分はシェリー樽ウイスキーが苦手だと思っていたのですが、初めてエドラダワー10年を飲んだとき好みの味だったので驚きました。
アルコール度数が40%でありながら濃厚な味わいで、その点がそれまで飲んできたシェリー樽ウイスキーと大きく違いました。マッカラン12年シェリーカスクも同じアルコール度数40%で、良い言い方をすれば上品ですが、端的に言うと味が薄いです。定価が9990円であることを考えると、物足りなく感じてしまいます。
ストレートでテイスティング
香り:
こってりとした甘さ。酸っぱさもあり、ラズベリーのような香り。
味わい:
ベリー系の甘味と酸味。香りの印象よりはドライ。クリーミーな口当たり。中盤以降にタンニンの渋みとスパイシーさ。鼻に抜ける余韻は完熟したベリー。
ベリー系の甘味と酸味に加え、渋み、スパイシーさもあり、これぞシェリー樽熟成という感じです。
強いてネガティブなことを言えば、口に含んでから余韻までの味の変化に乏しく、奥行きに欠けるように感じます。ただ、10年熟成のウイスキーにそこまで求めるのは酷でしょう。
ラガヴーリン16年
アイラ島にあるラガヴーリン蒸留所のシングルモルトウイスキーです。アルコール度数は43度。8年や10年などもありますが、熟成年数が長い16年がフラグシップ的な立ち位置になっています。
2、3年前は7000円前後で手に入り、熟成年数の割にリーズナブルなウイスキーでした。昨年あたりから高騰し、現在の市場価格は10000円前後です。一時品薄でしたが、最近は近所の酒屋に常に置いてあります。
ストレートでテイスティング
ラガヴーリン16年は量り売りで買って飲んだことがあり、すでにブログに感想を載せていますが、その際はカリラ12年との比較でした。改めてこのウイスキーに向き合ってテイスティングしてみます。
香り:
とげのないまろやかなピーティーさ。海藻より、葉巻っぽい。柑橘系の甘い香り、酸っぱさがあり意外と爽やかな印象。厚みのある上品な香り。
味わい:
甘味とコクが強く、濃厚な味わい。余韻のスモーキーさが主張しすぎず、全体を下支えしている感じ。アルコール感をほとんど感じない。
コク(出汁感)とスモーキーさがあり、多層的という言葉が似あうウイスキーです。甘味は表現が難しく、蜂蜜でもなく黒糖でもなく、強いて言うなら柑橘系の品のあるほどよい甘味です。
16年熟成ということで人間にしたら32歳。それにしては貫禄ありすぎです。
まとめ
ラガヴーリン16年はさすがのおいしさです。冬であれば飲み方は2本ともストレート一択でしょう。暖炉のある部屋でじっくり時間をかけて飲みたいですね。
ちなみにエドラダワー10年は加水、ロック、ハイボールで飲んだことがあるのですが、アルコール度数が低いからか、特長である濃い味わいが一気に薄まってしまいました。冬でなくともストレートがおすすめです。