りゃまがたのウイスキーノート

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テイスティングとウイスキーにまつわる雑談

グレンフィディック12年&グレンリベット12年 飲み比べ

超基本のシングルモルト

グレンフィディック12年とグレンリベット12年は、初めての飲むシングルモルトとして選ばれることが多いようです。その理由として、スぺイサイドのウイスキーらしい華やかで飲みやすい味わい、シングルモルトとしては安価な4000円前後であること、スパーで買える入手性の高さなどが挙げられるでしょう。

私自身のことになりますが、実はつい最近までこの2本を飲んだことがありませんでした。ウイスキーを飲み始めたころなぜか飲む機会がなく、以降も「初心者向けのシングルモルト」というイメージのせいで、進んで手に取ろうとしませんでした。
一方で、この超基本の2本を飲まないままでいることに居心地の悪さを感じていました。そこに昨今ウイスキーの値上げや、個性的なウイスキーに飽きてきたなどのタイミングが重なり、今回ついに購入することにしました。(ちなみに、保険をかける意味で2本ともハーフボトルです。)

そこで今回はグレンフィディック12年とグレンリベット12年の2本を飲み比べし、初心に戻ってじっくりと味わいつつ、どちらが自分好みかを探りたいと思います。

 

基本情報

前述のように2本ともスぺイサイドのウイスキーで、ともにアルコール度数は40%です。2024年4月9日現在、近所のスーパーでグレンフィディック12年は3980円、グレンリベット12年は4580円で売っていました。

 

グレンフィディック12年をストレートでテイスティング

香り:

爽やかなりんごと麦の香り。香りの感じ方は弱い。

 

味わい:

良く言えば優しい甘さ。悪く言えば形容しがたい特徴のない甘さ。味が薄く、奥行きにかける。飲み込んだ後は舌にアルコール感とビターさが残る。鼻に抜ける余韻はほとんど感じない。

 

味が薄く、特徴をつかみにくいです。そのため実際以上にアルコール感が目立っている印象です。


グレンリベット12年をストレートでテイスティング

香り:

りんご系の爽やかな香り。グレンフィディック12年より重たい(濃い)。

 

味わい:

リンゴのようなフルーティーな甘味と酸味。鼻に抜ける甘く爽やかな余韻。

 

香りと味の濃さ、余韻に強さにおいてグレンフィディック12年を上回っています。また、酸味があることでより複層的な味わいになっています。


結論

お察しの通り、私は完全にグレンリベット12年推しです。はっきりと違うのは味の濃さ。真偽は定かではありませんが、最近のグレンリベット12年は以前と比べて味が濃くなったという話を聞きます。また、個人的に酸味があるウイスキーが好きなので、そこもぐっときたポイントです。気軽に飲める美味しいシングルモルトであり、今のボトルが空になったらフルボトルでリピートするつもりです。

一方のグレンフィディック12年は、すいすい飲めますが、味が薄くて物足りないです。似たような理由からグレンモーレンジィ10年もあまり好みではありません。多少重みがあり、ストレートで飲む醍醐味を感じさせてくれるウイスキーが好みです。

 

【追記(2024年4月19日)】

グレンフィディック12年をハイボールにしたらりんごのような風味がふわっと広がり、美味しかったです。このウイスキーの飲み方の正解はハイボールのようです。

80年代ジョニーウォーカー赤・黒

今回は80年代のジョニーウォーカー赤と黒テイスティングします。現在のメルカリの相場だと赤は3000~4000円、黒は4000~5000円くらいです。市場に出回る数が減っているし、物価が上がっているし、徐々に値上がりするはずです。今回飲んで美味しければ、今のうちに買い足そうと思います。

ちなみに以前、ジョニ黒の現行品・90年代後半・90年代前半の3本を飲み比べました。記事にしているので、興味があったら読んでみてください。

ryamagata.hatenablog.com


年代識別、ボトルの比較

製造された年代を識別する手掛かりとして、まず確認すべきことは「特級」の表記があるかどうかです。これは1989年の酒税法改正で廃止になった級別区分のひとつで、この表記があるということは1989年以前のものということになります。

容量も確認すべきポイントで、今回テイスティングする2本のように750mlだと80年代のもの、760mlだと70年代と考えられています。

また、ジョニ黒の場合、80年代は黒と金のキャップで、70年代は金のキャップという違いもあります。(ジョニ赤は80年代も70年代もキャップは赤と金です。)

ちなみにアルコール度数は赤、黒ともに43%です。

 

ジョニ赤(80年代)をテイスティング

まず色味からですが、ジョニ赤は黄金色で、ジョニ黒はそれより濃い茶色がかった色です。

香り:

はちみつの甘さ。酸っぱさが特徴的で、それにより軽い印象になっている。マスカットのような爽やか系のフルーティーさ。過度ではないがしっかりと感じ取れるスモーキーさもあり。

 

味わい:

現行品にはないコクと若干の酸味があり、キャラメルのような甘味。スモーキーさは香りほど感じない。酒質は軽く、アルコール感はない。鼻から抜ける余韻はほぼなく、中盤以降から感じるスパイシーさが口内に残り、アクセントになっている。

 

軽い酒質なのでじっくり味わって飲むというタイプのウイスキーではないですが、コクがあり、単調な感じはしません。


ジョニ黒(80年代)をテイスティング

香り:

スモーキーさが強く、それに甘さが伴う。甘さはビスケットなどの焼き菓子のような印象。酸っぱさもある。現行品とは全く違う、重みのある香り。

 

味わい:

口に入れた直後は穏やかな甘味だけを感じたが、その後、スモーキーさがぐっと立ち上がり、かすかに酸味が残る。余韻はジョニ赤より感じるが強くはない。


ジョニ赤より香り、味ともに線が太く、ボディの重さを感じました。飲みごたえはジョニ黒、爽やかさはジョニ赤に軍配が上がるという感じです。


まとめ

今回の最大の収穫は、赤・黒ともに現行品と全く異なることを確認できたことです。当時と今の麦の品種の違いなのか、80年代のジョニーウォーカーは味が濃く、独特のコクがあります。ややもすれば野暮ったいと評されるような味わいで、現行品はその部分をごっそりなくし、クリアで飲みやすく仕上がっています。

値上がりが予想される中、今のうちに購入しておくのは得策かもしれません。ただ私の場合、また購入するかと聞かれたら答えはノーです。現行のウイスキーと比べるとこってりとした味わいで、そこが良さでもあるのですが、ボトル1本飲むとなるとしつこく感じます。4000~5000円を出すのなら、グレンリベット12年あたりのほうが飽きずに、気軽に飲めます。

ただ、ひとえに現行品との違いを感じられるという点においては大いに飲む価値があります。おすすめはまずバーで一杯飲んでみること。ボトルを買ってみたが口に合わない、飽きてしまったという事態を避けられます。

また、今回の2本は幸いにも問題ありませんでしたが、オールドボトルには品質の劣化がつきもの。ボトルを見ただけでは完璧に劣化を見抜くことはできません。バーであれば品質が保証されたものを提供してくれるはずですから、その点でもおすすめです。

冬に飲みたいウイスキー2選

ウイスキーがもし人間だったら

以前どこかで聞いた話で、ウイスキーを人間に当てはめたとき、熟成年数を2倍にした数字を年齢とするとしっくりくるそうです。

例えばボウモア12年の場合、まだ若いけれどしっかりとした個性を持っていて、言われてみれば24歳の青年のようです。ボウモア15年はシェリー樽による追熟で深みが増した一方、まだ伸びしろがあるような感じで、人間にして30歳と思うとこれもそこまで違和感はありません。

他にもいろんなウイスキーに当てはめて考えてみましたが、意外とどれもしっくりきます。ただ、余市はノンエイジなのでまだ未成年ということになりますが、だとしたらそうとう大人びた子供に感じてしまいます。

 

冬に飲みたい2本

さて今回は、今が12月の末ということで、冬にぴったりなウイスキーを2本紹介します。ひとつはエドラダワー10年、もうひとつはラガヴーリン16年です。それぞれキャラクターが全く異なりますが、2本に共通しているのはミディアム~フルボディであること。寒い季節にそういうウイスキーをゆったり飲む時間は至福です。今回もテイスティングした際の香り・味わいとともに紹介します。

 

エドラダワー10年

シェリー樽で10年間以上熟成したシングルモルトウイスキーです。市場価格は6500円ほど。熟成年数が若いわりに濃い赤茶色をしていますが、カートンに"NATURAL COLOUR"との記載があり、無着色のようです。

これまで飲んだシェリー樽熟成のウイスキーグレンファークラス12年、グレンファークラス105、マッカラン12年シェリカスク、アランシェリカスク)は、正直どれも好みではありませんでした。そのため自分はシェリー樽ウイスキーが苦手だと思っていたのですが、初めてエドラダワー10年を飲んだとき好みの味だったので驚きました。

アルコール度数が40%でありながら濃厚な味わいで、その点がそれまで飲んできたシェリー樽ウイスキーと大きく違いました。マッカラン12年シェリカスクも同じアルコール度数40%で、良い言い方をすれば上品ですが、端的に言うと味が薄いです。定価が9990円であることを考えると、物足りなく感じてしまいます。

 

ストレートでテイスティング

香り:

こってりとした甘さ。酸っぱさもあり、ラズベリーのような香り。

 

味わい:

ベリー系の甘味と酸味。香りの印象よりはドライ。クリーミーな口当たり。中盤以降にタンニンの渋みとスパイシーさ。鼻に抜ける余韻は完熟したベリー。

 

ベリー系の甘味と酸味に加え、渋み、スパイシーさもあり、これぞシェリー樽熟成という感じです。

強いてネガティブなことを言えば、口に含んでから余韻までの味の変化に乏しく、奥行きに欠けるように感じます。ただ、10年熟成のウイスキーにそこまで求めるのは酷でしょう。


ラガヴーリン16年

アイラ島にあるラガヴーリン蒸留所のシングルモルトウイスキーです。アルコール度数は43度。8年や10年などもありますが、熟成年数が長い16年がフラグシップ的な立ち位置になっています。

2、3年前は7000円前後で手に入り、熟成年数の割にリーズナブルなウイスキーでした。昨年あたりから高騰し、現在の市場価格は10000円前後です。一時品薄でしたが、最近は近所の酒屋に常に置いてあります。

 

ストレートでテイスティング

ラガヴーリン16年は量り売りで買って飲んだことがあり、すでにブログに感想を載せていますが、その際はカリラ12年との比較でした。改めてこのウイスキーに向き合ってテイスティングしてみます。

ryamagata.hatenablog.com

 

香り:

とげのないまろやかなピーティーさ。海藻より、葉巻っぽい。柑橘系の甘い香り、酸っぱさがあり意外と爽やかな印象。厚みのある上品な香り。

 

味わい:

甘味とコクが強く、濃厚な味わい。余韻のスモーキーさが主張しすぎず、全体を下支えしている感じ。アルコール感をほとんど感じない。

 

コク(出汁感)とスモーキーさがあり、多層的という言葉が似あうウイスキーです。甘味は表現が難しく、蜂蜜でもなく黒糖でもなく、強いて言うなら柑橘系の品のあるほどよい甘味です。

16年熟成ということで人間にしたら32歳。それにしては貫禄ありすぎです。

 

まとめ

ラガヴーリン16年はさすがのおいしさです。冬であれば飲み方は2本ともストレート一択でしょう。暖炉のある部屋でじっくり時間をかけて飲みたいですね。

ちなみにエドラダワー10年は加水、ロック、ハイボールで飲んだことがあるのですが、アルコール度数が低いからか、特長である濃い味わいが一気に薄まってしまいました。冬でなくともストレートがおすすめです。

初めて買ったボトラーズウイスキー

店主おすすめのウイスキー

今回は群馬県太田市のねもと酒店で以下の条件と好みを伝えて選んでもらい購入した、ダンカンテイラーのブナハーブン6年を紹介します。

ボトラーウイスキー

・1万円以内

シングルカスクかつカスクストレングス

・スモーキーなものでもOK

初めて買ったボトラーズかつシングルカスクウイスキーということで、記録を兼ねてテイスティングレビューをしたいと思います。

ちなみに、ねもと酒店には昨年末に訪れたのですが、店内は天井まで高さのある棚が並んでいて、そこにウイスキーがぎゅうぎゅうに陳列されていて、倉庫をそのまま店舗にしたような感じでした。今年7月に移転&リニューアルしたようでYoutube上の動画で見るとかなりオシャレになっていました。移転に伴い店名をThe Whisky Retailer NKに変更したそうです。

 

ダンカンテイラーというボトラー

ダンカンテイラーは1938年にスコットランドグラスゴーで設立し、当初は樽を取り扱うビジネスをしていおり、後にボトラーとしての事業を始めました。

ラインナップはシングルカスクカスクストレングスで瓶詰した「シングルカスク」や、カスクストレングスかつ小さな樽で追熟した「オクタブ」などがあり、今回のブナハーブン6年は「シングルカスク」のものです。

 

ダンカンテイラーのブナハーブン6年

ブナハーブン蒸留所はアイラ島にありながら、オフィシャルのフラグシップであるブナハーブン12年で使用されるモルトはほとんどピートを焚いていないことで有名です。ただし、今回のブナハーブン6年はボトルにある"Peated"の表記の通りピーテッドタイプで、オフィシャルとは違った味わいが期待できます。(オフィシャルのブナハーブンはまだ飲んだことがないのですが・・・。)

カスクストレングスでアルコール度数は54.3%。樽については表記がなく、詳細がわかりません。購入価格は確か8千円台後半でした。

ちなみにダンカンテイラーから同じようなスペックの7年物が「シングルカスク」からも「オクタブ」からも1万円以下で出ており、武川蒸留所販売のサイトで買うことができます。


まずはストレートで

香り:レモンと綿菓子を合わせたような酸味のある甘く爽やかな香りとピート香。若い熟成年数にしてはアルコール感が弱い。

味わい:レモン菓子のような酸味を伴った甘味が強く、ピートの印象は控えめ。ライトな酒質で、爽やかな口当たり。余韻はぶどうの皮のような若干の渋い苦み。

加水すると、アルコール感、余韻の苦みが弱まる反面、レモン菓子のような特徴的な甘さが薄れて漠然とした甘さになった印象。

熟成年数が6年と若く、アルコール度数が54度と高いのですが、飲んでいるうちに慣れてきてほとんどアルコールを感じなくなります。

 

おまけでハイボール&ロック

最後、ボトルにわずかに残っていた分をハイボールとロックにして飲んでみました。

ハイボールは甘味が消し飛び、ピート感だけが残ったような味わいに。口当たりはクリーミーになり、ハイボールに求めている爽やかさは感じられませんでした。レモンのような甘味と酸味が上手く活きると思っていたので意外です。

 

ロックも甘味・酸味が消え、ピート感とアルコール感だけが残りました。結構飲みにくいです。口当たりはこちらもクリーミーに。

飲み方はストレートが口に合いました。

 

おわりに

初のボトラーウイスキーは熟成年数が若くパンチの強く、レモン菓子のような酸味と甘味が個性的で十分に楽しめました。8千円後半なら手に取る価値があると思います。
次は今回とは対照的に、スペイサイドの熟成年数20年オーバーのものを買ってみようと考えています。狙いは比較的安価であるマイナーな蒸留所のボトルで、グレンスペイ、アルタベーン、タムナヴーリンあたりに目を付けています。ただ、安価と言っても3万円前後するので、まだ先のことになりそうですが。

ボウモア12年&15年

ロックが美味しいウイスキー

シングルモルトはストレートで飲むことが多いのですが、ボウモア12年はロックだと甘味が強まり好みの味になります。そこで今回は先日衝動買いしてしまったボウモア15年と、ストレートとロックで飲み比べてみます。

余談ですが、同じ銘柄の熟成年数違いを飲み比べることを「縦飲み」と言うそうですが、Googleで「縦飲み」と検索すると授乳時の姿勢についての情報ばかりヒットします。

 

ボウモア12年の基本情報

12年の基本情報から。アルコール度数40%で、色は琥珀色。値段は近隣のスーパーで4500円、ハーフボトルが2500円ほど。今回はメルカリで2200円で購入したハーフボトルを飲みます。

樽構成については酒販店などのサイトにバーボン樽とシェリー樽が使われていると書かれています。また、サイトによってはバーボン樽原酒が65%、シェリー樽原酒が35%と書かれていますが、サントリーの公式サイトには記載がないので正確にはわかりません。

 

まずはストレートで

香り:スモーキーさと潮気があると同時に、酸味を感じさせる爽やかでフルーティーな香り。

味わい:ライトな飲み口。蜜っぽい甘さとスモーキーさ、かすかに麦っぽさがある。香りほどのフルーティーさは感じられない。シェリー樽の影響か余韻はビターな印象。多少アルコール感あり。

 

つづいてロックで

香り:海藻由来のようなヨード香が強まり、甘さが後退した。

味わい:香りと裏腹に蜜のような甘さがぐっと強まる。一方でスモーキーさとビターさは穏やかになり飲みやすい。アルコール感はない。

 

やはりボウモア12年はロックでこそ真価を発揮すると思います。アルコール度数が40%と低いため、氷が解けると水っぽくなるので、十分に冷えたぐらいの段階で氷を取り除くのがよさそうです。

 

ボウモア15年の基本情報

ボウモア15年はアルコール度数は43%で、色は赤褐色。12年と比べると結構色が違いますね。

左が12年、右が15年

 

定価は税込み10120円で、市場価格は9千~1万円でしょうか。これもメルカリで購入し、8350円でした。

サントリーの公式サイトに「バーボン樽で12年間熟成させた原酒を、オロロソ・シェリー樽で3年間熟成。」と樽構成が明記されています。

www.suntory.co.jp

 

まずはストレートで

香り:シェリー樽由来のベリー系の香りが前面にあり、それにスモーキーさが付随している感じ。12年と比べて香りがかなり強まっている。

味わい:ベリー系の甘味を感じた後、スモーキーさがアクセントとして加わる感じで、バランスが良い。12年より味が濃く、鼻に抜ける余韻が強まっている。一方でアルコール感は弱まっており好印象。余韻はかすかにビター。

 

つづいてロックで

香り:全体的に香りが抑えられ、かすかにヨード香を感じる。

味わい:甘さがベリー系から蜜のような甘さに代わり、12年に近い味わいに。

 

15年はストレートだとシェリー樽由来のベリー系の甘さが前面に感じられます。加えて、香り、味わい、余韻のそれぞれが12年より強く感じられ、熟成年数が長い分順当にアップグレードしているという印象でした。ロックは12年と似たような味になり、シェリー樽の特徴をつかみづらくなりました。

まとめ

飲み比べをしたことで12年と15年はキャラクターにはっきりとした違いがあることがわかりました。

 

ボウモア12年

・蜜のような甘さとスモーキー

・ライトな酒質

・おすすめの飲み方はロック

 

ボウモア15年

・ベリー系の甘さ

・落ち着いたスモーキーさが良いアクセントに

・重厚感がUP

・おすすめの飲み方はストレート

シェリー樽熟成かつスモーキーなウイスキーが好きな人にぴったり

 

ここまでレビューしておいて何ですが、個人的にボウモア12年、15年ともにあまり好みではありません。お世辞にも多層的とは言えず、少し野暮ったく感じてしまいます。同じアイラモルトだとアードベッグTENかカリラ12年のほうが好きですね。

ただボウモア12年、15年をじっくり飲むとわかるのですが、それぞれに特徴があり、完成度が高いウイスキーであることに間違いありません。機会があればより熟成したボウモア18年を飲んでみたいです。

【5選】ストックするほど好きなウイスキー

ウイスキー好きならば、いつ飲んでも美味しいと感じる自分の中の定番があると思います。値上げ続きの昨今、そういったウイスキーはぜひともストックしておきたいところ。そこで今回は私が実際にストックしているお気に入りのウイスキー5本を紹介します。

 

1本目 アードベッグTEN

アルコール度数 46%

市場価格 6000~7000円

初めて飲んだアイラモルトであり、自分がヘビリーピーテッドなウイスキーへの耐性があることを気づかせてくれた思い出深い1本です。強烈なピーティーさだけでなく、柑橘系の甘さ・爽やかさのバランスが素晴らしいです。雑味のないライトな酒質と思いきやミルキーな感じもあり、10年熟成でありながらここまで多層的な味わいであることが多くの人を魅了する理由だと思います。

飲み方はハイボールもロックもおいしいですが、個人的にはストレートが好きです。ライトで雑味のない飲み口なので、何杯飲んでも飲み飽きません。

TEN2本のほか、ウーガダールとコリーヴレッガン(旧ラベル)を1本ずつストック中。

 

2本目 余市

アルコール度数 45%

市場価格 5000円

このブログに登場するのが3度目の大定番のボトルです。最近は出荷量が増えたのか、店頭で目にすることが増えました。

ryamagata.hatenablog.com

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杏のような温かみのある甘さとスモーキーさが好みど真ん中で、5000円でこの味に敵うウイスキーは他にないと思っています。

飲み方は主にストレートですが、ハイボールもおすすめです。個人的に余市のキャラクターがしっかりと感じられるので、ウイスキー:炭酸水=1:2.5のちょっと濃い目のハイボールが好きです。

 

3本目 クライヌリッシュ14年

アルコール度数 46度

市場価格 7000~8000円

蜜のような上品な甘さが特徴で「華やか」という表現がぴったりのシングルモルトです。濃厚でオイリーな酒質で、麦っぽい余韻も好印象です。

14年熟成ながら結構アルコール感がありますが、少量加水することでアルコール感が薄まり、甘い香りが広がります。元が濃厚なのでトワイスアップにしても薄く感じず、おいしいです。

 

4本目 オーバン14年

アルコール度数 43度

市場価格 7000~8000円

高いレベルで味わいのバランスが取れていて、良い意味で中間的。強い甘味は糖蜜系とフルーティさの両方の要素があり、温かくも爽やかです。ピーティーさ、麦っぽさ、スパイシーさも感じ取れます。スパイシーさはアルコール感からくるネガティブなものではなく、甘さと相まってチャイのようにも感じられ、ピーティさとともに余韻に残ります。

開栓したばかりはこれらの印象が薄くて微妙な感じでしたが、1か月ほど経ってから本領を発揮しました。いまや何を飲むか悩んでいるときに真っ先に手が伸びる愛飲ボトルです。飲み方はストレートがおすすめです。

 

5本目 ローヤル

アルコール度数 43度

市場価格 3500円

今回紹介する中で唯一のブレンデッドウイスキーです。7月1日出荷分からの値上げ(税込み3696円→4290円)が発表されていて、常飲している方にとってはストック必須の1本です。

おすすめの飲み方は断然水割り。ストレートだとアルコール感が強いのですが、水割りにすると甘くフルーティな風味がふわっと広がり、これが焼き魚や煮物などの和食との相性バツグンです。

いつも作る水割りの比率はウイスキー:水=1:2~2.5です。白く濁った氷だとえぐみが出るので、必ず透明な氷を使っています。

 

まとめ

5本すべてに共通するのはフルーティーで甘みが強く、バーボン樽主体であることです。また、甘さ一辺倒ではなく、スモーキーやスパイシーなど他の要素が加わるとぐっときますね。

ちなみに5本の中で順位をつけるとしたら、1位がアードベッグTENで、2位がオーバン14年オーバン14年、その他は同率3位です。オーバン14何年は味わいのレベルが高く、いつ飲んでも十分な満足感を味わえます。ただ、アードベッグTENには他に替えが利かない個性的な魅力があるので、1位を決めるとなるとこっちですね。

余市と竹鶴 テイスティング

余市と竹鶴

今回はニッカのシングルモルト余市」と同じくニッカのブレンデッドモルト「竹鶴」を飲み比べます。

日本のシングルモルトといえば真っ先に名前があがるのがサントリーの山崎、白州で、それにニッカの余市、宮城峡がつづくという感じでしょうか。

どれもそれぞれの個性が光る人気のウイスキーですが、個人的にずば抜けて余市が好きです。

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以前記事にしましたが、特に開栓から数か月経ったボトルは甘さが際立ち、スモーキーさと酸味とのバランスが素晴らしいです。ストレートもロックもハイボールもおいしいオールラウンダー。

1,2年前と比べると品薄状態が解消され、店頭で見かけることが増えました。

 

一方、竹鶴を店頭で見たのは1年ほど前のことで、ザ・ニッカとの抱き合わせ販売でした。抱き合わせとはいえ定価だったのでさんざん悩みましたが、購入せず。以降一度も見たことがなく、そのとき買わなかったことを後悔していました。

今回の用意した竹鶴は以前に別の記事で紹介した熊本県の酒屋「アルマ つのだ本店」で購入した60mlの量り売りのものです。値段は確か1000円ほどだったと思います。

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前回のラガヴーリン16年もそうですが、貴重なウイスキーを少量でも味わえる量り売りは本当にありがたいです。


基本情報

飲み比べの前に余市と竹鶴の基本情報を抑えておきましょう。

ともにニッカウヰスキーが製造していて、余市余市蒸留所のシングルモルト、竹鶴は余市蒸留所と宮城峡蒸留所のモルト原酒をかけ合わせたブレンデッドモルト(ピュアモルト)です。

アルコール度数は余市が45%で、竹鶴が43%。価格はともに4950円(税込み)です。

 

余市テイスティング

すでに別の記事で紹介しているので、特徴をかいつまんで紹介します。

 

香り:熟したフルーツの甘酸っぱい香りとかすかなスモーキーさ。

味わい:黄桃のような甘さと酸味。香り以上に強いスモーキーな余韻。多少のアルコール感。

 

いつ飲んでもおいしいです。

 

竹鶴をテイスティング

竹鶴は今回初めて飲みます。常時品切れで人気のほどがうかがえるので楽しみです。

 

香り:綿あめのような強い甘さ。スモーキーさは感じない。

味わい:どっしりとした甘味。糖度の高いトウモロコシの甘味を強くした感じ。かすかにスモーキーさ。余韻に麦っぽさ。アルコール感はほとんどない。

 

1回目のテイスティングは先にアルコール度数が高くスモーキーな余市を飲んでしまったため、奥行きが感じられませんでした。幸い60mlの半分しか注いでいなかったので、翌日テイスティングしなおしました。

2回目で気づいたのは余韻の麦っぽさが良いアクセントになっていることです。ただ、相変わらず甘さを強く感じ余市も甘いと思っていたけれど、それがかすむほどです。フルーティではなく、若干べたついた感じの甘さなので好みが分かれるかもしれません。


個人的な感想

やっぱり余市はおいしいです。甘さ・酸味・スモーキーさのバランスが良く、複層的な味わいです。また、個人的に甘いけど甘いだけじゃないウイスキーが好きなので、好みど真ん中です。

一方、竹鶴は甘くてアルコール感が少なくて、余市より飲みやすいけれど、面白みがないという印象です。2つの蒸留所の原酒をかけ合わせたブレンデッドモルトなので複雑な味わいを期待していた分、意外でした。

個人的には余市のほうが好きですが、甘いウイスキーが好きな方には竹鶴をおすすめしたいです。