りゃまがたのウイスキーノート

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テイスティングとウイスキーにまつわる雑談

爽やかすぎるジン「ザ・ボタニスト」

酒屋あるある

先日酒屋に行くと、なかなかお目にかかれない桜尾のシェリカスクが置いてありました。店員さんに「これって売っていますか?」と尋ねると「すみません、飲食店向けでして・・・」とのことでした。何本かのボトルとまとめて置かれていて、仕分け作業中だったようです。

別の日、別の酒屋にてレジの上に余市10年を発見。こちらも売ってくれるか尋ねたところ、店員さんが手でさっと隠すような動作をして「これはお売りしていないので・・・」と答えました。動作が大げさになりすぎたのを自覚してか、なんだか申し訳なさそうでした。

実はこういうことがほかにもあって、酒屋あるあるなんじゃないかと思います。どうせ売れないなら目につかないところに置いてほしい・・・。見つけたときに上がったテンションを抑えきれず、ついつい他のボトルを衝動買いしてしまいます。

 

ウイスキーの蒸留所でつくるジン

そんな話はさておき、今回は「ザ・ボタニスト(The Botanist)」というジンを紹介します。ウイスキーを常飲するようになってからジンに興味を持つようになり、ビーフィーターなどの定番品から飲み始めました。その後、少し上の価格帯のものを飲んでみたくなり、手に取ったのがこのジンです。

 

ボタニストはウイスキーで有名なアイラ島でつくられる唯一のジンで、「ザ・クラシック・ラディ」や「ポートシャーロット」などのウイスキーを生産するブルックラディ蒸留所でつくられています。使われているボタニカルは31種類あり、ジンの中ではかなり多いほう。アルコール度数は46度です。

今回は200mlのミニボトルを購入しました。700mlのフルボトルは概ね4000円弱で販売しています。

 

まずはストレートで

香りは甘酸っぱく爽やかな印象です。アルコール度数46度ですが、想像していたほどアルコールの刺激はありません。

口に入れるとボタニカル由来の風味が広がり、苦みにつづいて甘さを感じます。控えめな甘さで柑橘系っぽいですね。苦みがネガティブにならず、爽やかさに一役買っています。口当たりは結構粘性があります。

飲み込んだ後はほんの少しアルコールのピリッとした刺激が舌の上に残ります。鼻から抜ける香りが爽やかです。

 

ドライなジンソーダ

つづいてソーダ割りで飲んでみます。ストレートを飲んだ時の印象通り、口当たりが軽くて爽やかな味わい。甘さはほとんど感じず、使われているボタニカルの多さからか複雑な風味で、後味に苦みが残ります。結構ドライですね。おつまみはナッツよりドライフルーツなど甘味のあるものが合いそうだと思いました。

ボタニスト:炭酸水=1:3だと線が細く水っぽく感じます。少し濃い目に作るのがおすすめです。

 

ジンといえばジントニック

今回は大好きなトニックウォーター、フィーバーツリーを使います。

ボタニストとフィーバーツリーの苦みが合わさり、味わいがにぐんと深みが出ました。

フィーバーツリーが人口添加物を使用していないせいか甘さがわざとらしくなく、品のある大人な味わい。主張が強すぎない分、続けて飲んでも嫌になりません。

試しにウィルキンソントニックウォーターでつくってみましたが甘さが強すぎて、ジンの風味が後退してしまいます。

ボタニストは爽やかで繊細なジンなので、フィーバーツリーとのほうが相性が良いようです。

 

ジンソーダと向き合おう

ここまできて言うことではないのですが、ボタニストのジンソーダ、好みではありません。爽やかすぎて、物足りなく感じてしまいます。

そこで手元にあった同じブルックラディ蒸留所のウイスキー「ザ・クラシック・ラディ」をジンソーダにちょい足しして、味に変化を加えてみます。クラシック・ラディはノンピーテッド麦芽を使ったスモーキーさのないウイスキー。同じ蒸留所ということでうまく馴染むのではないかと期待しつつ、5mlほど加えて飲んでみます。

慎重派(臆病者)ゆえ、クラシックラディも200mlのミニボトルです。

するとソーダ割りのときにあった苦みがすっと消え、クラシックラディの麦っぽい甘さとボタニストの爽やかさが共存した味わいになりました。通常のジンソーダよりこちらの方が飲みやすくて好きです。ただ、濃い目につくったのですが、それでも印象の薄さは否めない・・・。

ちなみにクラシックラディは単体で飲むと、青リンゴや白ワインのような香りなのに味わいは麦っぽく、意表をつかれます。

個人的にボタニストはジントニックがピカイチという結果でした。(ただし、フィーバーツリー使用時に限る。)